筋鈎は先を効かせろ！ってどういうこと？？

【BUYSS labo 01 / Episode 040】

布をピンッと張る方法 を考えると
筋鈎を引く『コツ』がつかめるかも知れません

前回までの
術野展開へ向けたテンションコントロールについてはコチラ↓↓
一読いただけると助かります。。。

ちょっと復習

刃物のキレを最大にする

剥離にしろ切開にしろ

緊張のかかっていない部分は『刃物のキレ』が最大にならないため
意図した部分に
切る・剥がす などの操作を加えることはできません。

たわんでしまっては
いくら新品のメスを当てても『スパッ』と切る事は出来ません。

とにかく 刃物（電気メスを含む）の当たる部分には

緊張がかかっていないといけません

引けば『線』ができる

そこで

緊張を生むために
どこか１点が固定されている状態で
手前に引くと・・・

このように １本の『線』ができ
その部分は刃物に対する緊張を与えることができます。

しかし、引くことでできた線 以外の部分では
緊張がかからないために
刃物に対する たわみ ができてしまいます

では

固定する点を増やして ２点 にするとどうでしょうか？

線が２本できるので
１本の時に比べると
緊張のかかった『美味しい』部分は増えます・・・が

↑↑ 赤と黄のピンに挟まれた部分の組織ごとひっぱられるため
全体にたわみができてしまいます。

面を作る事が全て

固定している２点に
たわまないための緊張をもたせるとどうなるでしょうか？

この状態で、先ほどと同じように手前に引くと

力のかけ方を変えるだけで

『線を面に変える』ことができます

切開や剥離の術野で考えるべき事は

どの方向に力を加えると効率良く『面』を作れるか です

四角形の面を作る事を考える

先ほどの 三角形 を作る際と同様に
２点を左右に引っ張って固定した状態で・・・

角をつかんで対角線方向に引っ張ると・・・

術野に緊張を持たせるという事は

効率良く『四角い面を作る』 という事でもあります

術者の立場で考えてみると

ここで
術者の立場から考えると・・・

助手に対して

このように両手で牽引する事は不可能です。

そこで・・・

↑↑このコラムの最後にも書いていますが

指を開きつつ手前に力をかけていきます。

布に緊張をかけようとすると
指先をしっかりと布に押しつけた上で
手前に引かないと上手く行きません

この時の指の形は

こんな形になっていて
この指尖部で布を押しつけつつ手前に牽引しています。

布が触れているのはDIPやPIP関節では無く
指尖部で『引っかけて』いる状態です。

この動きによって布に緊張がかかり

このように摘まんで対角線に引くのと同じ効果が得られます

この形 筋鈎そのものですよね

助手が引く時には

筋鈎を使って術野に緊張をかけるためには

左右の手で持った筋鈎を

緊張をかける面に『先端』を押し当てて
引っかけるように引く 必要があります

筋鈎を『引く』というのは
単に手前に引くのでは無く

先端を
効率良く引っかけるには
単に押し当てるのでは無く
引き上げるように引く
という動きになります

• 先端は剥離面（最深部）に押し当てる
• 余分な組織を抱え込んで引き上げる

を同時にやるという事なのです

更に、筋鈎と筋鈎の間にも緊張をかける必要があるので

方向としては

レフト線＆ライト線の関係が成立するのです

結局『先を効かせる』ってのは

結局の所、術者が術野展開において助手に求めるのは

この写真での示指と同じ動きで

• 筋鈎と筋鈎の間に緊張のあるラインを作る
• 先端を押し当てる＆引っかける
• 余分な組織を抱え込む

ということで

コレを一言で表したのが

筋鈎の『先を効かせる』 なのです！

解説動画