【BUYSS labo 01 / Episode 030】
順目と逆目、男結びと女結び は、諸説あったとしても似ていますが
『ロック』に関しては、正直 納得できる動画に出会ったことがありません
所長の言う『オートロック』と
意図的にかけるロックを混同してるんぢゃないですかね?
ロックをかけるには
『片方の糸を引っ張る』という方が多いのですが・・・
それだとロックではなく、単に糸で結び目押さえているだけだし
結果として「二段締め」しているだけなんですよね・・・
『ロックをかける』って言うくらいなんだから
結び目が動かない・・・っていうイメージなんですけど。。。
そうですよね。
今回は『ロックをかける』について解説します!
これで
第一結紮から第二結紮までの間に 糸が緩んでしまう事故が減るはず❗❗
ロックには2種類ある
糸結びの「ロック」には2種類あると考えると理解しやすくなります
索状物を結紮したときの オートロック と
刺通した糸を結紮したときに 意図的にかける ロック です。
世の中で 糸結びの際に 「ロックをかける」 と言っているのが
このどちらなのか? というと
圧倒的に 後者 だと思います。
前者は どちらかというと
かかりやすくする「糸」を適切に選択すれば
自然にかかるものなので
意図してかける のは 後者です。
それでは、この2つについて解説しましょう。。。
オートロック
前回【糸結び】糸の種類と特徴|編糸(ブレイド)とモノフィラメントでも触れましたが
オートロックは対象物の弾性と糸の抵抗によって
いわば「勝手に」動かなくなる状態です
オートロックをかけるには
操作云々ではなく
適切な糸 を選ぶという事の方が重要です
とはいえ
対象物の弾性が強すぎれば
どんな糸を使ってもロックはかかりません。
ロック(食い込みロック)
一方
みんながロックと言っているものは
縫合の際などに何かを刺通した糸を結紮するときに
意図的にコントロールしてかけるものだと思います。
↑この図のように
糸で締め込まれるループに含まれる組織の弾性で
ループが押し広げられる時にかかるものですが
重要な役割を果たすのが
糸の出てきている『穴』です
締め込もうとしている糸のループを
組織(輪っかの中身)が拡げようとする力を利用して
穴に糸を食い込ませる
というのが『ロック』の真相です。
ロックのかけ方
それでは 穴を使って糸を固定するタイプの
ロックのかけ方 について解説しましょう。
縫合&結紮をするときに
糸を締めていくと、ループの中の組織の弾性によって
輪っかには拡げる力がかかります
この図でいうところの『穴』に着目すれば
穴に向かって黄色の糸を引き込む力(ピンク矢印)がかかっている状態です。
この状態を維持しつつ
黄色の糸を「持ち上げないよう」にしながら
『穴』に近付けていくと・・・
こんな感じで『穴』の真上に結び目が来た瞬間・・・
結び目が『穴』に向かって引き込まれる力がかかり
結び目が赤色の糸を『穴』に押しつけてしまいます
この瞬間が
ロックのかかった瞬間です
この状態を維持するには
両方の糸を引っ張らない ことが重要です
ロックをかける瞬間は
両方の糸を同じ方向に引っ張ると ロックがかかりますが
かかってからは
糸を引っ張らないように緊張を解いてあげないと
ロックは維持出来ません
ですから
ロックをかけた状態を維持するには
第2結紮 では ノーテンション で糸結びをする必要があります。
また
このシミュレーターの写真を見ると分かりますが
組織をかなり締め込んだ状態でないと
ロックはかかりません
従って・・・
皮膚縫合においては ロックは禁忌 です!
ロックは 食い込ませながら 結紮点を維持するもの なので
ある程度
「締め込む」事が許容されるシチュエーションで使ってください
僕が多用するのは・・・
- デカい腹の開腹後に白線閉じる時
- 皮弁とともに筋膜とったときの筋膜の閉鎖
- 縫合の際に一旦減張のためにかける仮縫合
ぐらいです
「ロック」は
シチュエーションを理解して正しく使いましょう
解説動画
皮弁採取後の閉創で
一人で寄せきれないときに 仮縫合でよく使っています
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